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読者の目を引くアブストラクトを書くには?
研究者の皆さんは、原則的に「アブストラクトの大切さ」を理解はしていますが、論文発表が成功するかどうか(論文の被引用率が高まるかどうか)、あるいはポスター発表で聴衆が集まるかどうかが、アブストラクトによっていかに左右されるかをご存知の方は少ないようです。十分に練られたアブストラクトは、研究者が論文全体を読むかどうかに影響を与え(その結果、論文の被引用率が高まり)、ポスター発表では多くの聴衆を引きつけ、さらに科学界に「最新」ニュースを発信する際に目を引く伝達手段としての役割をも果たし得ます。意図する目的が何であれ、アブストラクトは最もインパクトのある形式で書かれることが大切です。プロの校正者にこれまで採用され、その効果が立証されている、簡潔に、且つできる限り魅力的に研究を発表する方法について、いくつかのヒントをご紹介しましょう。
背景
近年、オンライン出版が盛んになるにつれ、アブストラクトの重要性が増し、また、数多くのアブストラクトに簡単にアクセスできるようになりました。ほとんどのジャーナルや引用集では、誰もが論文のアブストラクトにアクセスできるようになっています。しかし、論文本文へのアクセスは、料金を支払った利用者か、課金制のダウンロードのみに制限されています。文献検索をする研究者は、時間とお金をかけて論文全体をダウンロードすべきかどうか、アブストラクトを見て即座に判断しなければならないため、アブストラクトの品質そのものは、皆さんの論文がどれだけ頻繁にダウンロードされるかに直接影響を及ぼします。そして、論文がどれほど読まれ、その結果、どれほど多くの研究者が参考文献として皆さんの論文を引用するかに関係してきます。特に、論文が日本語で書かれている場合、日本人以外の研究者は皆さんの論文の翻訳に時間と研究予算をかけるべきか否かを判断しなければならないので、とても重要です。したがって、論文本文が日本語で書かれているか英語で書かれているかに関わらず、英語のアブストラクトの品質は、皆さんの論文が参考文献として引用されるかどうかに大きく影響するのです。今日の「情報化時代」で、アブストラクトが今まで以上に重要になってきていることを鑑みて、これより、効果的なアブストラクトを書くためのヒントと、あまり知られていないアイデアのいくつかをご紹介します。これらのヒントは、多くのお客様とのお付き合いや、ジャーナル編集者や査読者の方々からのフィードバック、そして自身の研究のために数多くのアブストラクトを発表してきた弊社ネイティブ校正者のコメントに基づいています。
言葉を慎重に選んでください
アブストラクトはできるだけ簡潔であるべきです。これは科学文書全般に言えることですが、アブストラクトの場合には特に重要です。ジャーナルの投稿規定にある語数制限を越えていると、オンライン投稿の手続きでリジェクトをされたり、査読されないままエディターから原稿が返されリバイズを要求されたりします。必要な情報のみを含め、不必要な言葉や表現を避けることにより、原稿が無事に査読を受け、アクセプトされるチャンスを増すことができます。これを達成する最も簡単な方法は、言葉と表現を慎重に選ぶことです。例えば、"on the other hand"などのフレーズは、"in contrast"、あるいはもっと短く"conversely"に変えることができます(4ワード⇒2ワード⇒1ワード)。"It is worth noting that"や"the fact that"などの表現は切り捨てるべきです。アブストラクトを書き終えた後に簡潔さに磨きをかける一番の方法は、数回校正を繰り返し、校正のたびに語数を減らすことに集中することです。海外のジャーナルに投稿する場合は、共著者、または英語を母国語とする同僚、または専門の校正会社に依頼し、アブストラクトを改善してもらうことをお奨めします。プロの校正者は、アブストラクトを簡潔にし、且つ明確化するためのいくつかの「奥の手」を持っています。
研究の背景や展望を示してください
よく見受けられるもう一つの誤りは、アブストラクトの前半でその研究の新奇な側面を強調する一方で、アブストラクトの後半部分において研究の背景やその調査を実施した理由に関する十分な情報を提示しないことです。皆さんの研究成果がなぜ重要なのか、その成果が専門分野にどのような影響を及ぼすのかを、アブストラクトの終わり付近で読者に伝えることが必要です。研究成果の背景を立証し、それらの関連性を説明することにより、アブストラクトの「読みやすさ」または「理解しやすさ」が増し、その結果、ジャーナル編集者が皆さんの論文を認め、さらには皆さんの論文が受理され、他の研究者に引用される回数に影響を及ぼすことになるのです。
読者にあまり期待をしないでください
アブストラクトは論文の一番始めの目立つ位置にあり、最初に読まれる部分ではありますが、大抵の場合、論文執筆プロセスの最終段階において作成されます。著者は論文の執筆作業中に論文内容とその結論について熟知していくため、このプロセスは極めて自然です。また、アブストラクトは最後に書くほうが簡単で、論文の重要な点を説明する要約の形で手早く書くことができます。しかし、このアプローチでアブストラクトを作成することには根本的な問題があります。著者は研究内容を熟知しているため、アブストラクトの中で簡単に触れられているだけで、論文の要点の全てが適切に「説明されている」と思い込んでしまいます。また、研究成果の妥当性がすべての読者にも明らかであると想定しがちです。このような短絡的な考え方により、著者はアブストラクトに背景や前後関係といった非常に重要な要素を含めることを忘れてしまいます。それを回避するためにも、同僚や専門の校正会社からアブストラクト単独での評価を受けることが大切なのです。
新たな視点を得てください
アブストラクトの評価を受ける際には、適した人物を選ぶことが重要です。この場合の「適した人物」とは、ターゲットとなるジャーナルの読者層、および自分の研究を発表する目的によって決まります。例えば、ターゲットジャーナルの読者層が「一般」あるいは複数の分野にまたがる場合には、別の専門分野を持つ同僚にアブストラクトを読んでもらうとよいでしょう。読者層がより絞られている場合には、同じ研究室の同僚に手伝ってもらうとよいかもしれません。大切なことは、ジャーナルの読者層によって、アブストラクトがどのように書かれるべきかが左右されるということです。
アブストラクトの「ヒット率」を高めてください
アブストラクトを書く際に注意すべきもう一つの点は、皆さんの研究に関係するあらゆるキーワードを含めることです。キーワードを作成するテクニックの一つは、論文全体に目を通し、キーワードになり得る単語に印を付けることです。もう一つの方法は、たとえアブストラクトの内容に含まれていなくても、自分の分野の用語をキーワードに含めることです。こうすることで、皆さんのアブストラクトは、検索サービスやインターネットの検索エンジンを利用して文献検索を行っている研究者の目に留まり易くなります。
断片をつなぎ合わせてください
アブストラクトの構成は、皆さんの専門分野または科学的領域、そして、ターゲットのジャーナルの必要条件によって異なります。アブストラクトの中には、論文の主なセクションに沿った各セクションに分けることができるものもあります(たとえば、Introduction、Methods、Results and Discussion、Conclusions)。それぞれのセクションは一文か二文で構成されます。アブストラクトを書く上でのテクニックの一つは、論文全体を読んで、重要な文をハイライトすることです。次に、これらの重要な文(断片)を組み合わせて、アブストラクトを形成するのです。
正しい問いかけをしてください
上述のテクニックと共に使えるもう一つの便利なアプローチは、自分に問いかけを行い、読者の立場に自分を置いてみることです。
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1. この研究の動機は何か?
言い換えれば、みなさんの研究課題とその成果に
なぜ読者が関心を持つのか? - 2. どんな問題を解決したいのか?
ご自分の研究で取り上げる問題について簡単な説明が
なされなければなりません。 - 3. 何を行ったか?
ここでは、問題を解決するためにとったアプローチを要約します。 - 4. 何を発見したか?
研究の主な成果を要約します。 - 5. その結果、どんな意味があるのか?
ここでは、研究の主な結論を要約します。
以上のポイントに従うことにより、読者の目を引く効果的なアブストラクトを書くことができ、それにより皆さんの論文が発表され、他の研究者に引用される可能性を高めることができるのです。
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