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効率のよい論文作成のカギ ― Microsft-Wordの機能を活かそう
MS-Wordは最も一般的なワードプロセッサーです。ほとんどの研究者が、ほぼ毎日このソフトを使用しています。ところがそうした研究者の多くが、MS-Wordの持つ機能のほんの一部しか使っていません。今回はMS-Wordの機能を最大限に活かし、研究論文の執筆と編集に役立てる方法をお教えしましょう。
テンプレート
ジャーナル向けの論文や学会での発表原稿を書き始める前に、投稿先ジャーナルや出席する学会のWebサイトにMS-Wordのテンプレートがあるかどうかを必ず確認しましょう。テンプレートがあれば、論文や原稿を投稿規定に沿っているかどうか確認しながら仕上げる際に、時間と手間を大幅に節約できます。別に書いた文章をカット・アンド・ペーストでテンプレートに貼りこむよりも、テンプレートに直接書きこむ方がはるかに楽です。そのためにも、文章を書き出す前にテンプレートの有無をチェックすることをおすすめします。
スペルと文法のチェック
MS-Wordには、あらかじめインストールされた辞書を使ってスペルチェックを行う機能が備わっています。スペルミスを見つけ、修正するのにたいへん便利で、ネイティブ・スピーカーも頼りにする機能です。とはいえ、インストール済みの辞書は一般的な語句で構成されており、科学用語や専門用語はあまり含まれていません。そのため専門用語が対象となると、実際のスペルミスなのか、それともこれが正しいスペルなのかといった判断が難しくなります。この問題は「辞書に追加」機能を使って解決できます。この機能を使用するには、追加したい用語の上で右クリックし、「辞書に追加」を選択します。これで辞書に登録され、今後はこの用語が強調表示になることはありません。また、辞書に追加したい用語のリストが手元にある場合は、辞書を開いてそれらを直接登録することができます。さらには「すべて無視」オプションを利用するという手もあります。ある用語に対してこのオプションを選択すれば、その時点の作業ではMS-Wordの「文章校正」に引っかからなくなりますので、論文でしか使わず辞書に登録したくない用語がある際に役立ちます。
図1. 専門用語を辞書に追加する
図2. 用語リストをMS-Wordの辞書に追加するため、辞書へのパスを特定し…
図3. 「メモ帳」で辞書ファイルを開き、新しい用語をコピー・アンド・ペーストする
MS-Wordはスペルだけでなく、文法もチェックしてくれます。文書の作成にはとても役に立ちますが、やはりカスタマイズが必要です。たとえば、MS-Wordのデフォルト設定では、受動態で書かれた箇所を強調表示するようになっています。しかし、たいていの科学技術系の文書では、受動態の使用が受け入れられています。そのため、特別な事情がないかぎり、この設定はオフにすべきです。文法チェッカーのカスタマイズに少しばかり時間を割いて、投稿先ジャーナルの規定に沿った設定にしておきましょう。
図4. 文法チェッカーを科学技術系の論文向けに設定しなおす
文書の自動保存とバックアップ
非常に大切な機能に「自動保存」があります。論文の準備中にコンピューターがクラッシュし、作業の多くが失われてしまうことほど、がっかりさせられることはありません。そうしたトラブルを避けるために「自動保存」機能を短い間隔(五分間隔程度が最適でしょう)で実行し、作業を保存するようにしましょう。それと同時に、毎日、あるいは週一回のペースで定期的に重要な文書のバックアップを取るなどの、有効なバックアップ計画を立てることも大切です。論文や書籍など、文書量の多い作業を行う際には、とくに重要なポイントとなります。
改ページの挿入
文章や素材を新しいページから開始したい場合(表紙のあと、参考文献ページや図表とキャプションの一覧表記の開始など)は、「改行」を何個も入れるのではなく「改ページ」の挿入機能を使用します。そうすると、今後改版を重ねても、その素材がつねに「ページ区切り」の直後のページに含まれるようになります。また、行のなかに空白を入れたい場合は、いくつも「スペース」を入れるのではなく「タブ」ボタンを利用しましょう。
注意:ジャーナルによっては、タブや改ページの挿入が不可のものもあり、予め投稿先ジャーナルの投稿規定をご確認ください。
科学技術系の論文には多くの記号が登場しますが、キーボード上にそれらのキーは存在しません。そのため、記号の入力にはメニューバーの「挿入」から「記号と特殊文字」ダイアログ・ボックスの「フォント」プルダウン・メニューから「Symbol」を選択します。図の例には、度数を表す記号「°」や(アルファベットの「x」ではなく)乗算記号「×」、(ハイフン「-」ではなく)マイナス記号「-」をはじめ、様々な数学記号が含まれています。ギリシャ文字の記号の入力は、この「挿入」機能を利用するか、あるいはメニューバーのフォントメニューから「Symbol」を選択すれば可能です。
図5. 文書に記号を挿入する
検索と置換
「検索」と「置換」は、表記のバラツキをなくすのに役立つツールです。自分の書いた文書に間違いを見つけたら、この機能を使ってほかにも間違いがないかどうかを確認します。数字と単位表記のあいだの「スペース」についても、「検索」を利用してチェックできます。この場合はワイルドカードを使用します(図の例では"[0-9][a-z]"と"[0-9][A-Z]"を検索しています)。文書中に「スペース」が二つ続けて入っている箇所を検索することも可能です。「スペース」や「改行」、「改ページ」を表示するには、「編集記号の表示/非表示」ボタンを使用します。
図6. 「検索」機能を使用して数字と単位のあいだの「スペース」の有無を確認する
オートコレクト機能を活用しよう
「オートコレクト」機能をうまく活かすと、作業時間をかなり節約できます。「オートコレクト」とはそもそもが、タイプミスをその場ですぐに自動修正してくれる機能のことです。ところが、この「オートコレクト」に独自の定義を与えることで、長い単語や語句の入力を素早く行えるようになります。たとえば、"micro Raman spectroscopy(マイクロラマン分光法)"という語句をよく使うのであれば、"mrs"という略語を自動的に"micro Raman spectroscopy"に置換するよう設定できます。つまり"mrs"と入力すれば自動的にmicro Raman spectroscopyと置き換えてくれるので、長く複雑な英語を入力する手間が省けるのです。
図7. 「オートコレクト」機能のカスタマイズ ― "mrs"を"micro Raman spectroscopy"に置換する
ショートカットキー
時間と手間を省くもうひとつの手段が、ショートカットキーの活用です。なかでもとくに重要なものを以下にまとめます。
| 切り取り | "Ctrl" + "X" |
| コピー | "Ctrl" + "C" |
| 貼り付け | "Ctrl" + "V" |
| 保存 | "Ctrl" + "S" |
| すべて選択 | "Ctrl" + "A" |
| 元に戻す | "Ctrl" + "Z" |
| 繰り返し | "Ctrl" + "Y" |
| 直前の動作を繰り返す | "F4" |
| 改ページの挿入 | "Ctrl" + "Enter" |
独自のショートカットキーを定義することもできます。
その他、論文作成時のヒントについては、過去にご案内した以下の特集をご参照ください。
- 日本人執筆者が陥る間違いを回避できる12のヒント
- 論文掲載への第一歩 ― 守っていますか?「投稿規定」
- MS-WordとLaTeX ― どちらを使うべきか?
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