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英文査読コメントの書き方-効果的な英語表現を身につける


- G.A., シニアエディター

現在ほとんどの学術誌がピア・レビューシステムを採用しているため、普段は自分の研究に打ち込んでいる研究者でも、分野の専門家として他の研究者の英語論文を査読するように依頼されることがあります。

ピア・レビューについてガイドラインを設けているジャーナルもあります。 これらの査読ガイドラインにはピア・レビューの目的や査読コメントにどのようなことを含めるべきかなど一般的なアドバイスが示されています。しかし大抵の場合、査読コメントとしてふさわしい表現に関してジャーナルが具体的な助言を示している訳ではありません。そのため特に英語のネイティブ・スピーカーではない査読者にとっては、英語の査読コメントの作成は手ごわい作業になりえるのです。

ピア・レビューでは、査読報告書(英語)冒頭で研究の要約を述べることをお勧めします。そうすることでジャーナルの編集者や著者にあなたがその論文をきちんと読んで内容を把握したことを示せます。たとえば、典型的な査読報告書(英語)は以下のように書き始めることができるでしょう:
“In the manuscript entitled “Our original research” the authors present the findings of their…” 『我々独自の研究』と題された本論文では、以下の調査結果が示されています…

第一段落ではさらに論文に対する総合的な意見を述べると良いでしょう。たとえば:
“Although the findings are of interest, their appeal to the readership of this journal is too limited to warrant publication.” 本論文では注目に値する調査結果が示されてはいますが、本ジャーナルの読者層の期待に応え、発表に耐えうるには、その範囲はあまりに限られていると言えます。

または

The data collected in this study contribute to our understanding of this phenomenon and the manuscript could be considered for publication following revisions.” 本調査によって得られたデータは、当研究対象の理解に貢献するものと考えられます。以下いくつかの修正を条件に、本論文の掲載を推薦します。

第二段落では、学術研究の評価すべき点と問題点を提示し、さらにこれらの問題点がどのように克服されるべきかについてコメントしましょう。あからさまに批判的なコメントは避け、あくまで建設的な指摘をするように心がけてください。たとえば、便利な表現として以下のようなものが考えられます:
“The findings are limited by several important factors….” 本研究の研究成果はいくつかの要因により、限定的と考えられます…

“To overcome this limitation, the authors could…” これらの問題点を克服するために、…することを検討してください

最終段落では、細かい内容の修正点に関する具体的なコメントを記述します。ここでは、学術研究の価値そのものには直結しないけれども、論文の体裁を全体的に改善するような、具体的な修正点を挙げてください。指摘が細かくなりすぎることを気にする必要はありません。丁重な言葉遣いを心がけ、以下のような表現を使って指摘すると良いでしょう:

“Please insert a comma after ‘however’ (line 12, page 3).” “however”の後にコンマを挿入してください(3ページ、12行目)。 “Please modify the list of factors in the Introduction to eliminate the use of ‘etc’ (line 9, page 3).” 「はじめに」では要因のリストを書き改め、”etc”(など)を使用しないようにしてください(3ページ、9行目)。

今後、査読者として多くの依頼を受けることが予想されるなら、明快で簡潔な英文査読コメントをするためにも、上記に挙げたような便利な表現を集めた独自の英語フレーズ集を作成しておくと良いかもしれません。

査読者としての経験を積めば、他の研究者があなた自身の学術研究をどのように評価するかということをより良く把握することができるでしょう。さらに、他の著者がどのようなタイプの指摘を受けているかを理解することで、自分自身の英語論文を執筆する際に同様の問題を回避しやすくなるでしょう。今後、専門分野の英語論文の査読を依頼されたときには、時間を惜しまず、ぜひ承諾することをお勧めします。

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