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- G.A., シニアエディター

温水が冷水より速く凍るようにみえる現象は、これまで多くの人に観測されています。この仮説を市民科学者が検証した動画をYouTubeで多数見ることができ、特に、通常よりも気温が低い地域から投稿されているようです。

科学者もこの現象を観測し、ムペンバ効果と命名していますが、その存在が十分に検証され、このような観測結果をもたらす詳細なメカニズムが解明されたのはつい最近のことです。先日、カナダのサイモンフレーザー大学の研究者らが水の冷却の模擬実験を行い、微小なガラスビーズに関する重要な観測結果を発表しました。

高温の液体が低温の液体よりも速く氷になるというのは直観に反するようにみえるかもしれませんが、この研究者らは、ビーズ(個々の水分子を表す)自体が高温の場合、低い温度に適合した構造へより速く再配置が起こりうることを観測しました。したがって、多数のYouTube動画で再現されている、一見直観に反する観測結果には、物理学的に確かな裏付けがあるのです。

YouTubeは何も考えずに楽しめる、時間をつぶすには最適なサイトと思われるかもしれません。一方、科学者はYouTube動画を見て、世界をより深く理解するために役立つ可能性のある研究のインスピレーションを得ることがあるのです。

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