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- G.A., シニアエディター

2006年に設立された23andMeは、消費者直接販売型(ダイレクト・トゥー・コンシューマー:DTC)遺伝子検査のパイオニアです。顧客は唾液サンプルを送ることで、自分の遺伝的祖先や、どのような病気にかかりやすい特質を持っているのか、さらにはネアンデルタール人のDNAの系統を引いているかどうかまで確認できます。

米食品医薬品局(FDA)によるDTC遺伝子検査市場の監視により、23andMeを含むいくつかの企業は、提供するサービスとこれらサービスの宣伝方法を変更する必要に迫られてきました。しかし、遺伝子検査サービスへの一般市民の関心は、時とともに高まる一方です。23andMeは最近、2021年の第2四半期にIPO(新規株式公開)を実施する計画を発表しました。これにより同社は、いわゆる「個別化医療」を提供する数十億ドル規模の企業となります。この計画ではリチャード・ブランソン氏の会社と提携する予定になっており、結果としてブランソン氏のヴァージン・グループが何百万人分ものDNAにアクセスできるようになる可能性があります。

遺伝子分析が以前より一般市民に受け入れられるようになり、DNA検査を個別化医療に適用することにも関心が集まっていますが、遺伝子データの商業化拡大について懸念する声も出ています。ヴァージン・グループは多様な事業活動を行っているため、23andMeの初期の顧客が唾液サンプルを最初に送ったときには夢にも思わなかったような形で遺伝子データが利用される可能性があります。

FDAはDTC遺伝子検査市場の監視を続けており、消費者に対して保護措置が取られていることには安心できます。しかし、このような遺伝子検査が市場に出回るようになってまだ数年あまりであることを考えると、消費者とそのデータを集めて利用する企業の両方にどんな未来が待ち受けているのか、今の時点では明らかではありません。

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