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- G.A., シニアエディター

天然資源の所有と管理に焦点を当てた現代の資本主義は、私たちと地球を共有する他の種に圧倒的なダメージを与えているとみなされてきましたが、アリゾナ州立大学のカレン・ブラッドショー教授は、著書の中で、同じ資本主義的な観点を野生生物の利益となるよう用いて、種の生息地や生物多様性全般を保護することを提案しました。

2020年末に刊行された「Wildlife as Property Owners: A New Conception of Animal Rights」は、人類だけが財産を所有できるという考えを否定し、生存に必要不可欠な生息地が確実に保護されるよう、所有権を野生生物へ拡大することを奨励しています。

生息地の所有権を野生生物に付与することには明らかな難題があり、その1つに、野生生物は人間とコミュニケーションを取って権利を効果的に行使することができないということがあげられます。しかし、著者が指摘するように、飼い主を亡くしたペットが資産や財産を相続するケースが多くあります。ペットに代わって人間の代理人が信託を管理し、ペットたちはその信託から恩恵を受けるのです。このように、土地や金融資産の所有権を動物に与えるという概念は、すでに現代の法律の範囲で認められ受け入れられています。

政府や市民が、生息地を喪失する恐れのある地域の野生生物に土地の所有権を返すことを望まない、または返すことができない場合でも、私たちと地球を共有する他の種が持つ権利について認識を高めることは、将来、野生生物にプラスのインパクトをもたらす重要な決定に影響を与えるかもしれません。

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