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- G.A., シニアエディター

19世紀末に始まり20世紀を経て現在に至るまで、人類は地殻から膨大な量の石油と天然ガスを採取してきました。各国政府は、国家経済の推進力となり、非生産国に石油や天然ガスを販売することで国の財源になり得る油田の必死の探査を開始しました。 埋蔵資源を発見して採取することは、善意ある政府が果たすべき責任の一部と見なされていたのです。

地球の将来の気候がますます不確かになり、化石燃料からの早急な脱却が必要となる現在、各国政府は長らく続けてきた自由な化石燃料の探査と開発を中止し始めています。グリーンランド北東域には大量の石油が存在する可能性がありますが、グリーンランド政府は今年7月、国内に石油・天然ガス産業を打ち立てるという何十年にも及ぶ取り組みに終止符を打ち、今後は石油・天然ガスの探鉱鉱区ライセンスを発行しないと発表しました。

グリーンランド政府の発表で特に強調されているのは、石油・天然ガスの探鉱と利用が環境と気候に及ぼす影響です。さらに、再生可能エネルギーへの投資に注力する必要性も強調されています。

グリーンランドは人口が少なく、世界の主要国とは言えませんが、一国の政府が積極的に再生可能エネルギーへと経済のかじを切ったことで、他の国でも同様のアプローチを探る動きが促進される可能性があります。各国政府が長らく続けてきた行動パターンを変更し、それによって良い結果が得られることを産業界に示すことができれば、再生可能エネルギーの受け入れに対する抵抗も弱まるかもしれません。

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