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- G.A., シニアエディター

毎年、絶滅が認定された生物種のリストが一般メディアで公開されます。その結果、近年、多数の種が絶滅していることが一般に広く知られるようになりました。しかし、実際のところ絶滅のスピードは加速しており、認識の高まりは残念ながら有効な対策には結びついていないようです。

ゾウやパンダなど大型動物の窮状は、一般の人々の関心を集める傾向があります。農業や密猟などの人間活動は動物種に明らかな影響を及ぼし、人間もその影響をはっきりと見ることができるからです。しかし、最近Scienceに掲載された論文では、植物種の窮状を意識し続けることの必要性が強調されています。大小さまざまな鳥や動物がいなくなると、鳥や動物に種子散布を依存している多数の植物種に大きな影響を与えます

論文の著者らは、鳥や動物による種子散布は気候変動の時代に特に重要だと報告しています。新たな生息地となり得る場所に種子を運ぶ移動性の動物種がいなければ、植物種はもはや生存できない環境に閉じ込められることになり、絶滅してしまうリスクがあるのです。

植物は人間の食料源であるだけでなく、薬として用いられる可能性のある原料でもあるため、植物種の絶滅は人類にとって大きな脅威となります。したがって、種の絶滅は鳥や動物だけでなく、自然環境において鳥や動物と直接関わりを持つ無数の植物にも影響を与えることを意識しておかなければなりません。

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