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- K.J., エディター

気候変動は私たちの生活の一部になっており、その影響は今後も拡大し続けると考えられます。地球温暖化により、夏の北極圏では10年間で12.6%の海氷が減少しています。そのため、北極圏に生息するホッキョクグマ、キツネ、アザラシや、その他の動物群など、世界中の多くの種が影響を受けています。

例えばホッキョクグマ(Ursus maritimus)に着目すると、このような海氷の減少により、夏季の食物の狩猟はより難しくなります。ホッキョクグマはとても賢い捕食者なので、狩猟を行うためにさらに内陸まで移動します。つまり、ホッキョクグマとヒグマ(Ursus arctos)の生息域が重複することになり、異種交配や、最終的には全く新しい種が生まれることに繋がります。こうしたヒグマとホッキョクグマの交配種は「ピズリー(pizzles)」あるいは「ブロラーベア(brolar bears)」として報告されてきました。

ロシア科学アカデミーシベリア支部の研究者であるイノケンティ・オクロプコフ博士は、「将来、こうした交配種の発見例がさらに増えると予想されます」と述べています。これはホッキョクグマにとって良くない状況であることを示しています。自然の習性を失った上に、異種交配まで組み合わさると、純粋な種を完全に消滅させてしまう恐れがあるからです。

ホッキョクグマは生態系の頂点に位置する捕食者であり、北極圏の生態系にとって欠かせない存在です。気候変動が続くと、ホッキョクグマだけなく、世界中の重要な種が絶滅の危機にさらされることになるでしょう。この惑星へのさらなる被害を回避し、ホッキョクグマのような種がこれ以上危機にさらされ絶滅に瀕することなく、再び繁栄し始めることが望まれます。

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