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- G.A., シニアエディター

1980年代、地球を保護するオゾン層が減少し、南極大陸上空に穴(オゾンホール)が出現する、という現象が初めて発見されました。大気中のクロロフルオロカーボンの濃度上昇が引き起こすオゾン層破壊は、人類が地球に影響を及ぼしている証拠であり、人類がもたらすあらゆる悪影響を軽減できなければ、将来、危機的状況を招く恐れがあることが提示されました。

オゾンホールの出現という憂慮すべき事態に対応するため、国連の全加盟国がモントリオール議定書を批准しました。モントリオール議定書は、オゾン層破壊の原因となる化学物質を段階的に廃止することを求める国際条約です。こうした措置はすぐに効果を発揮し、つづく数十年の間に、最も有害なクロロフルオロカーボンの大気中濃度の増加は止まり、実際に減少し始めました。

国連環境計画は2023年1月に、オゾン層回復の最新状況に関する報告書を発表しました。この報告書では、モントリオール議定書の発効により実施した対策の有効性を高く評価し、現時点では2040年までにオゾン濃度が1980年の水準まで回復すると予測されています。さらに、2066年頃には南極大陸上空のオゾンホールが閉じることも予測されています。

オゾン層が完全に回復するにはまだ数十年かかり、クロロフルオロカーボンの使用に対しては引き続き警戒が必要です。また、新規に開発された化学物質についても、大気に同様の悪影響を及ぼすことがないよう気をつけなければなりません。それでも、人類が引き起こした問題を自らの行動によって解決したという事実は、動機づけがあれば互いに協力し合って効果的な対策を講じ、この惑星を守り回復させることは可能だという希望を与えてくれます。

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