- G.A., シニアエディター
国際的な研究チームがNASAとドイツ航空宇宙センターの衛星データを使用して行った最近の研究により、地球の淡水量が懸念すべきレベルにまで減少していることが明らかになりました。2014年5月以降、湖や河川の表層水および地下帯水層を含む地球の淡水量は、推定で290立方マイル(1,200立方キロメートル)、エリー湖の2.5倍以上に相当する水量が減少しました。 この研究では、NASAのGravity Recovery and Climate Experiment(GRACE)衛星が測定した地球の水量変化のデータが使用され、この不穏な動向について詳細な洞察が得られました。
研究の結果、淡水量の減少は最初にブラジル北部と中央部で発生した深刻な干ばつから始まり、その後、南米、北米、ヨーロッパ、オーストラレーシア、アフリカなどの地域で短期間に干ばつが相次いだことが判明しました。2014年から2016年に発生した強いエルニーニョ現象により気象パターンが変化し降水量が減少しましたが、エルニーニョ現象終息後も淡水量は回復しませんでした。世界で発生した最も激しい30件の干ばつのうち13件が2015年1月以降に発生しており、気候変動が淡水資源に及ぼす長期的な影響について懸念が高まっています。
研究者は、地球温暖化によって水の蒸発率が上昇し、降水パターンが変化するので淡水量の減少が加速している可能性があると示唆しています。気温が上昇すると大気中の水分量が増加し、極端な降雨イベントが増えますが、乾燥期も長くなります。この動態により、水が土壌に吸収されず、すでに枯渇している地下水の供給がさらに難しくなっています。
この研究結果が意味するものは非常に重大です。淡水量の減少は、農業、人々の健康、そして世界の安定に深刻なリスクをもたらします。すでに多くの地域では持続不可能な地下水採取に頼らなければならず、水へのアクセスを巡る紛争につながる可能性があります。温暖化が進む地球では水不足の脅威が高まっており、データはこの問題に対処するために早急な適応戦略とさらなる研究が必要であることを強調しています。
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