
- G.A., シニアエディター
Nature Sustainability誌に掲載された最近の研究から、気候変動と地球の軌道空間の持続可能性との間に懸念すべき関連性があることが明らかになりました。人間が排出する温室効果ガスによって地球温暖化が進んだことで、スペースデブリが低軌道上に長時間留まり、衛星の運用にとって危険な環境となっています。 下層大気の温度上昇の原因でもある温室効果ガスは高層大気の寒冷化も引き起こしており、スペースデブリ除去という自然のプロセスを遅らせています。
この研究では、熱圏の寒冷化が大気抵抗を減少させ、スペースデブリが地球に落下するのを防ぐ仕組みについて述べられています。結果として、デブリは軌道上に存在し続けるため、限られた地球周辺の空間が過密状態になっているという問題をさらに深刻にしています。大きな物体から小さな破片まで、さまざまな大きさのスペースデブリは衛星にリスクを与え続けています。衝突や爆発によってデブリの数は増加し、活動中の宇宙船に対するリスクは高まっています。デブリが軌道上に長く留まれば、通信、天気予報、科学研究に必要な衛星を安全に運用することが難しくなります。
この研究結果が意味するものは深刻です。高排出シナリオでは、温室効果ガスの増加により、地球を安全に周回する衛星の数は今世紀末までに最大66%減少する可能性があります。その結果、最大で4000万個の衛星が失われ、衛星利用サービスに深刻な支障をきたすことになります。リスクを軽減するため、宇宙機関は高額なデブリ除去作業にますます頼るようになるかもしれません。しかし、このような作業1回あたりに数千万ドルが必要になることもあり、宇宙活動の持続可能性をさらに複雑にします。
宇宙探査と衛星利用の未来を守るためには、温室効果ガスの排出を大幅に削減しなければなりません。研究結果が示しているように、地球の気候変動を緩和することには、宇宙の持続可能性に対するリスクを低減するという付加的な利点もあります。積極的な排出削減戦略を採用することで、地球の軌道空間の持続可能性を維持し、重要なシステムの安全性を損なうことなく将来の世代が衛星技術を利用し続けられるようになります。
英語版はこちら