- G.A., シニアエディター
国際的な共同研究チームが、世界有数のスーパーコンピュータである日本の「富岳」を使用し、生物物理学的に詳細なマウスの大脳皮質全体のシミュレーションモデルを細胞レベルに近い解像度で初めて構築しました。このモデルは、約1000万のニューロン、260億のシナプス、相互に接続された86の皮質領域を含み、精密なイオンチャネルの動態、膜電位、シナプス伝達メカニズムを組み込んでいます。
理化学研究所計算科学研究センター(神戸)に設置されている富岳で実行されたシミュレーションは、現実的な休止状態の神経活動を自発的に生成し、その活動は実際の生きているマウスから得られた実験記録と非常に高い一致を示します。自発的に生成された活動は、基盤となる生物学的データの正確性と計算フレームワークのスケーラビリティの両方を検証します。このシミュレーションでは、アレン脳研究所の「Brain Modeling ToolKit」と専用の高性能ソフトウェアを活用しています。
この画期的な成果により計算神経科学の研究範囲が劇的に拡大し、ネットワークレベルの現象(波動の伝播、振動のダイナミクス、遺伝子変異の影響など)を、初めて大脳皮質全体で研究できるようになりました。今回のシミュレーションのようなデジタルモデルは、ウェットラボでの実験を強力に補完し、将来的には動物実験への依存を大幅に減少させる可能性があります。
この成果が日本のスーパーコンピュータで実証されたことで、マウスの全脳シミュレーションに向けて急速に進展する道が開かれました。今後10年以内には人間の全脳モデルが実現し、その結果、神経科学の基盤が変革されるとともに、治療法の発見が加速されることが期待されます。
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