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- G.A., シニアエディター

地球の平均気温は本来周期的に上下しますが、「地球温暖化」と呼ばれる人間の活動による気候変動の加速が起きているかどうかについて議論が続いていることを、今ではほとんどの人が認識しています。

しかし、二酸化炭素がなぜ地球温暖化の主な原因とされているのか、また、そもそも二酸化炭素がなぜ温室効果ガスであるかを理解している人はそれほど多くないでしょう。

温室効果ガスは、地球の表面から放射される赤外線を振動運動に吸収して貯蔵することで地球の気温を上昇させます。すべての化学種が赤外光を吸収できるわけではないことがわかっており、分子が特定の種類の放射を吸収できるかどうかは、いわゆる選択律によって決定されます。赤外吸収の場合は、分子の電気双極子モーメントが振動運動に伴って変化する必要があり、振動の量子数は1回の吸収につき1しか変化できません。したがって、振動のない単原子分子や同種の原子2個からなる等核二原子分子は、赤外光を吸収できず赤外不活性と呼ばれます。

地球の大気を主に構成しているのは、窒素(体積の約78%)、酸素(21%)、アルゴン(0.93%)で、残りは二酸化炭素(0.04%)、メタン(0.0002%)、非常に少量の水素、ヘリウム、ネオンなどの微量気体が占めています。これらの数値は乾燥空気の場合で、大気は上記の気体に加えて水蒸気を含んでいます。大気中の水蒸気の量は変化しますが、平均すると全組成の約1%です。

上述の議論に基づいて、大気中の化学種の大半は赤外不活性であるため、水蒸気、二酸化炭素、メタンが主な温室効果ガスになります。実際には、二酸化炭素分子には4つの振動モード、つまり4つの異なる振動の仕方があり、そのうちの2モード(C-O非対称伸縮モードおよびO-C-O変角モード)だけが赤外活性です。この非対称伸縮モードを誘起するために必要な波長の赤外線は、地球からの放射が弱いため、地球温暖化に関しては変角モードがより重要になります。

平均すると大気中には二酸化炭素よりも遥かに多くの水蒸気が含まれていますが、大気中の水分量が気温自体に制御されており、地球の気温が上昇すると大気中の水分量が増加して気温がさらに上昇します。これとは対照的に、大気中の二酸化炭素とメタンの量はこれらの気体の発生源と吸収源で決定されます。大気中の二酸化炭素とメタンの量が増加すると地球の気温が上昇し、その結果、大気中の水分量が増加して気温がさらに上昇します。最後に、メタンが赤外放射を吸収する効率は二酸化炭素の約30倍ですが、大気中のメタンの量は二酸化炭素の約100分の1で、メタンは大気中で約8年経過すると分解します。一方、二酸化炭素は数百年から数千年間大気中にとどまることができます。

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