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- G.A., シニアエディター

米アップル社は2015年に、オープンソースのデータ収集プラットフォームであるResearchKitをリリースしました。科学者はこのプラットフォームを利用することで、iPhoneの登録ユーザーから健康に関するデータを研究用に直接収集することができます。 2017年3月に米国の研究グループが、この新しいプラットフォームで収集したデータを用いた初の研究成果を発表しました。

英科学誌ネイチャーに掲載されたこの研究では、7,600人の喘息患者から6ヶ月にわたりデータを収集しました。具体的には、喘息症状の治療方法に関するデータを集めるために質問票に回答してもらい、そのデータを解析しています。

質問票に対する回答率は低かったものの、喘息を悪化させる要因である花粉や山火事の煙などの影響を受けている地域では喘息症状が増えており、ユーザーにより提供されたデータは信頼できるとみなされています。

iPhoneユーザーのサンプル集団は人口全体を代表しているわけではなく、自己申告の健康データは必ずしも信頼性が高くありません。そのため、今後のResearchKitを用いた研究には、このような重要な限界があることを考慮に入れる必要があります。とはいえ、モバイルデバイスのユーザーは世界的に増加しており、科学者はモバイルを使用して有用な健康データを収集する方法をこれからも模索し続けるでしょう。

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