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- G.A., シニアエディター

気候変動には根拠がないとする声もあれば、人間が直接影響を及ぼしているとする声もあります。こうした中、世界中の科学者が、気候の変化と今日の生物界に及ぼしている影響について活発に調査しています。 カナダでは様々な樹種を分析することにより、国内の地域ごとに、将来の気候に最も適した性質を判断する研究プロジェクト(CoAdapTreeプロジェクト)が実施されています。

このCoAdapTreeプロジェクトを進める研究者らは、新たな気候条件に耐えられるよう樹種の遺伝子改変を試みるのではなく、熱や干ばつなどの重要な環境要因への局所的適応を特定するため、様々な樹木個体群の遺伝子を分析しています。こうした自然適応が特定されると、各適応が将来最も有益となる地域にその性質を持つ樹木を重点的に植栽することが可能となります。

樹種は好適な環境に生息範囲を拡大するために時間をかけて移動します。残念ながら大部分の樹種の移動可能距離は年に100~200メートルに過ぎません。CoAdapTreeプロジェクトの研究者らは、カナダの気候が近年急速に変化しているため、一部の樹種の生息地は既に最適な気候から最大130キロメートル離れているとしています。これだけ離れてしまうと、通常の移動速度で追いつくのは極めて困難です。

CoAdapTreeプロジェクトは、特定の樹木個体群内に既に含まれた適応を研究しており、置かれた環境で生存および成長するために生物を形作る自然淘汰の力を思い起こさせます。しかし、自然の力だけで環境の変化に追いつけない場合、人間が支援しようとするのを見るのは喜ばしいことです。

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