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地球の地質学的歴史は、科学者たちが地球の45億年にもわたる歴史の中で起きた出来事の時期を統一的に表現できるように、「世(epochs)」という地質年代区分に分けられています。2016年8月、南アフリカ共和国にて開催された第35回国際地質学会議において、ある研究グループは新たな地質年代の採用を提案しました。彼らは2009年から慎重に分析と議論を重ねてきた結果、地球の地質学的歴史において現在の地質年代を「人新世(Anthropocene)」として正式に認められるとの見解を示しました。

提案されている新たな地質年代の採用は、地球がその歴史において大きな転換期を迎えたことを意味します。地球では約1万1500年間「完新世」が続いていましたが、現在は人類の活動が気候や環境に支配的な影響を与えるようになっていると科学者たちは考えています。そのため、地球の現状を正確に映し出すためには新たな地質年代が必要だというのです。

地球史上非常に短期間のうちに人類がもたらした環境や気候の変化に鑑みれば、「人新世」の開始宣言を地球での人類の活動に対する告発として捉える人も少なくないでしょう。しかしながら、人類が地球に与えうるとてつもなく大きな影響を正式に認めることは、象徴的な意思表示としても重要な意味を持っています。なぜならこのことは、私たちの地球に対する影響力には、地球に共存するおよそ870万種の生き物のために地球を守る責任を伴うという事実を浮き彫りにするからです。