特集記事


毎年4月7日は、世界保健機関(WHO)が定めた「世界保健デー」です。WHOは毎年テーマを決めて啓発キャンペーンを行っており、2016年のテーマは世界中で有病者が増加している「糖尿病」でした。

世界保健デーに合わせて、大規模に収集された糖尿病関連データのプール解析の結果が医学誌『ランセット』に掲載されました。マラリアやがんなどの病気との戦いでは大きな前進が成し遂げられていますが、このデータを見ると、糖尿病では全く様相が異なることが分かります。

非感染性疾患 (NCD) のリスクに関するデータを世界中から収集し、解析する研究グループであるNCD-RisC の分析によると、成人の糖尿病有病者数は1980年から増加しており、実際多くの国で有病率が上昇しています。その結果、40年足らずの間に、世界の成人の糖尿病人口は4倍に膨れ上がりました。特に研究者の関心を引くのは、低・中所得国で糖尿病有病者数が最も急増していることです。

糖尿病は、患者の寿命や生活の質に影響を与えるだけでなく、医療費の増加を招いて医療保険財政を圧迫します。そのため、糖尿病を引き起こす要因を知ることは、すべての人にとって重要なことです。また、低所得国の今後の社会的・経済的発展を見る上で、糖尿病の脅威への対応も考慮することが必要です。糖尿病の治療に医療資源を投入することが最も難しい国々で有病率が上昇していることを考えると、WHOによる今回の糖尿病予防啓発キャンペーンの重要性はいくら強調してもしすぎることはありません。