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2015年3月のApple Watchのお披露目に伴い、アップルは医学研究者を対象とするモバイルアプリ開発用のオープンソースフレームワーク、ResearchKitを発表しました。ResearchKitフレームワークは、医学研究者が研究参加者を募集するのを助け、かつ参加者からのデータ収集を容易にするために構築されました。

これほどまでに多くの人がスマートフォンを肌身離さず持ち歩いている現状を考えると、スマートフォンやウェアラブルデバイスを使えば、従来のやり方では医学研究に参加しなかったであろう大勢の人から容易にデータを収集できるのは明らかです。さらに、iPhoneやApple Watchに搭載されているセンサーを利用すれば、参加者の日常生活を妨げることなく重要な健康データを収集するアプリも開発可能となるでしょう。

ResearchKitの発売開始以降、多数のアプリや研究プロジェクトが立ち上げられました。アプリの一覧 は医療系モバイル技術と健康管理アプリを中心に紹介するオンライン情報誌iMedicalApps にまとめられています。これまでのところ、コーネル大学医学部、スタンフォード大学医学部、およびカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者がアプリを開発しています。

完成したアプリの利用が始まって数カ月が経ち、研究者らは有望な初期成果 を公表し始めています。例えば、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学 の研究者らは喘息に関する研究に予想を上回る数の参加者が集まり、短期間に極めて低コストで膨大なデータを収集できたと報告しました。

アンドロイドスマートフォン用にも同様のオープンソースフレームワーク(ResearchStack )が公開されようとしており、開発者と研究者の両者共にモバイルおよびウェアラブルデバイスがこれからの医学研究の一翼を担うようになると考えていることは明らかです。テクノロジー企業はさらに先を行くウェアラブルデバイスの新機種を開発し続けており、研究者は今後ますます多くのデータを分析できるようになるに違いありません。