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デンマーク自然史博物館は、科学的資料の収蔵庫としての役割に加え、気候変動に関する興味深いデータを提供することで先日注目を集めました。Journal of Animal Ecologyに、デンマークのコペンハーゲンにある動物学博物館の屋根で採集した昆虫の18年間にわたる研究の成果をまとめた論文が発表されたのです。

18年の研究期間を通して、科学者らは毎週博物館の屋根に設置したトラップで蛾や甲虫を採集しました。その数は昆虫1,543種、計250,000個体を 上回り、科学者らはこの膨大なデータから同博物館の地域全般における気候変動の影響の兆候が見られないか分析しました。具体的には、種数および種毎の個体数の年変動と長期変動を測定し、近隣の気象観測台のデータと比較しました。すると、地質年代としては短期間であるにも関わらず、気候変動がコペンハーゲンの生物多様性に影響を及ぼしているという明らかな証拠が確認されたのです。

気候変動の象徴として一般メディアがよく取り上げるのは氷河の溶解です。一方、コペンハーゲンの動物学博物館の屋根で収集された今回のデータは、気候変動の影響は遠い未来に初めて感じられるものでもなければ、一部の脅威にさらされた種や生態系に限られるものでもないことを示しています。適切な場所を見れば、私たちが住む町や職場でさえも気候変動の影響を確認できるでしょう。