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「高度な味覚」を持つと自負する方々は、今後食べ物の味を表現する際に、今回紹介する新しい単語を披露する機会があるかもしれません。Chemical Senses誌の7月号に掲載された論文で、パデュー大学の研究者らは第6の味覚の存在を確認したと発表しました。研究によると、現在認められている甘味、塩味、苦味、酸味、うま味とは別に、ヒトは脂肪を味として感じることができるというのです。研究者らはこの第6の味覚を「脂味」(oleogustus;ラテン語で「脂肪の味」の意)と呼ぶことを提案しており、この言葉が食べ物の味について語る際に使われる新しい単語として今後受け入れられる可能性があります。

何千年もの間、私たち人間は基本の味覚として4種類(甘味、塩味、苦味、酸味)のみを認識し、それらを用いて味を表現していました。しかし、1900年代初頭に東京帝国大学の池田菊苗によって行われた先駆的な研究をもとに、現在はうま味として知られている味覚を感知する特定の味覚受容体の存在が、2000年になってようやく研究者により証明されました。

「うま味」が私たちの語彙に加わったのが比較的最近であること、またこれに続いて新たに「脂味」が加わる可能性があるという事実は、私たちは人間の身体について高度な知識を持っているものの、日常体験している自然現象にはまだまだ未知の領域があることを教えてくれているのではないでしょうか。