
気候変動によって起こり得る影響への意識が社会的に高まる中、世界各地の政府は、エネルギー計画に再生可能エネルギー源を取り入れる必要性にますます注目するようになっています。例えば、欧州連合は2020年までにエネルギー需要の20%を再生可能エネルギーで賄い、最終的に2030年までにエネルギー需要の27%を再生可能エネルギーで満たす目標を設定しました。また英国は、エネルギー需要の20%を再生可能エネルギーで賄うという目標を現時点ですでに半分以上達成しています。
2015年5月初旬、ハワイ州は再生可能エネルギーへの転換という世界的な取り組みにおいて先頭に立ちました。ハワイ州議会において、2045年までに州のエネルギー需要における再生可能エネルギーの比率を100%まで引き上げるという意欲的な法案が可決されたのです。デービッド・イゲ知事が署名せず法案が成立しない可能性はありますが、法案で設定された積極的な目標値が、ハワイ州以外の政府により高い目標設定を促すことは想像に難くありません。
ハワイ州が輸入エネルギーに依存していることを考慮すると、地元の再生可能エネルギーによって需要を満たす試みは経済的にも道理にかないます。さらに、ハワイの大きさと太平洋における位置を考えると、気候変動はハワイ諸島特有の多くの植物や動物種にとって深刻な脅威です。環境面と経済面の利害はしばしば対立の構図を生むものですが、たった30年で再生可能エネルギー比率100%を達成しようというハワイの挑戦は、再生可能エネルギーの問題が、重要な目標に向けて様々な立場の人々が協力しひとつになれる関心事であることを明確に示すものです。