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昨今の地球温暖化への懸念の高まりによって、研究課題の優先順位が入れ替わり、また、有益な技術的進歩にもつながっています。地球環境に対する不安がますます強まる中、消費者行動も変わり始めています。興味深いことに、企業や学術機関の動向に影響を与える可能性を秘めた、新たな動きにも勢いがついてきています。

通常、大学は莫大な基金を有しており、これらの基金を運用することで得られた資本利益が運営費に当てられています。大きな基金を持つ大学ほど、研究や学問的プログラムへの投資を行うための資本を毎年増やしていくことが予想されます。この基金から得られる一定の収益を維持するために大学が投資先として求めるのは、安定した産業で成長し続けている企業です。歴史的に見れば、巨額の資金がエネルギー株に投じられてきたということになります。地球温暖化に対する認識が深まるにつれ、大学が自らの基金の投資先を再評価する動きが出てきました。学術機関は化石燃料関連企業の株を売却すべきとする世論の高まりさえあります。2014年10月、グラスゴー大学の大学法廷で化石燃料産業株売却が可決され、これにより当大学は売却への第一歩を踏み出した英国初の大学になりました。

株売却を検討している、あるいは売却に向けて積極的に動いているのは学術機関だけではありません。2014年9月には、石油で巨額の富を築いたロックフェラー家の相続人が、化石燃料産業への投資から撤退することを宣言しました

化石燃料産業株の売却の動きがこの産業にどのような長期的影響を及ぼすのかは未だ不透明です。しかし、起りうる再生可能エネルギー産業への資金流入は、人類と地球環境にとって恩恵となる発展につながっていくかもしれません。