2015年3月6日、英国王立協会のフィロソフィカル・トランザクションズ誌は創刊から350周年を迎えました。同誌は現在も継続的に刊行されている世界最古の科学ジャーナルです。この重要な節目を記念して、同協会の出版部門で現在幅広い分野のジャーナルを刊行するRoyal Society Publishingは、王立協会の歴史について解説するほか、過去350年に渡り科学出版界が目の当たりにしてきた変化の数々、さらには科学出版を待ち受ける不確かな未来について検討するカンファレンスを開催します。
カンファレンスの開催地ロンドンでは、フィロソフィカル・トランザクションズの記録保管庫から厳選された展示の品々を実際に目にすることもできます（展覧会についての詳しいパンフレットのPDF版をこちらからダウンロードできます）。
現在、数多くのジャーナルに毎月膨大な量の研究成果が発表されていますが、フィロソフィカル・トランザクションズが近代科学において果たした大きな役割は、科学者であればみな認識しておくべきです。フィロソフィカル・トランザクションズは現在あらゆるジャーナルが踏襲するモデルを確立しました。それは、 近代科学研究の柱である科学的優先権やピアレビューに焦点を当てるモデルです。
研究成果の出版や拡散の方法にはまだ改善の余地があることは確かですが、フィロソフィカル・トランザクションズが先駆者としてこの安定したモデルを確立したこと、またそれにより過去350年間に渡って科学的知識の普及を促進してきた事実は尊敬に値するものでしょう。
