
毎年6月8日は世界海洋デーです。世界海洋デーは、人間の活動が世界の海洋に与える影響への関心を高めるために、非公式に提唱されました。人間の活動がもたらす影響のひとつで、深刻な問題とされているのが、サンゴ礁の世界的な荒廃です。
縮小し続けるサンゴの生息地を補うため、メキシコのプエルト・モレロスで世界最大規模の人工サンゴ礁の建設が始められました。「Kan-Kanán(カン・カナン」(マヤ語で「守護蛇」の意味)と名付けられたこの人工サンゴ礁は、完成すればカリブ海の水深2Kmにまで達するということです。
このプロジェクトは毎年多くの観光客が訪れるキンターナ・ロー州で進められており、人工サンゴ礁が完成する折にはダイビングやシュノーケリングを目当てに訪れる観光客の増加が期待されます。しかしながら、観光促進を目的とした多くの建設計画とは対照的に、人工サンゴ礁の建設プロジェクトには在来種の生息環境の改善が見込まれているのです。現在この海域には13,500種近くの生き物が生息していることが確認されています。人工サンゴ礁はこれらの生物の格好の住処となるだけでなく、海岸浸食の影響で生存が脅かされている生物の保護にもつながることが期待されています。 人工サンゴ礁完成の暁には、人間の活動が世界の海洋に前向きな影響を与えることもあるのだという確かな前例になってくれることを願わずにはいられません。