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アメリカ海洋大気庁が運営するマウナロア観測所は、1950年代から継続して大気環境の調査を行ってきました。大規模な居住区から離れたマウナロア山に位置する観測所では、その高い標高を生かし、大気中の様々なガスやエアロゾルの濃度の正確なデータが測定されています。

観測所がデータ収集を始めて以来、大気中の二酸化炭素濃度は上昇し続けています。2013年5月のある日、二酸化炭素濃度がついに400ppmの大台に達したことが発表されました。また、2014年4月は丸一か月にわたり二酸化炭素濃度が400ppmを上回り続けたという、憂慮すべき最新データも報告されています。

また、ハーバード公衆衛生大学院が行った最新の研究(Nature誌2014年5月7日版に掲載)により、マウナロア観測所のデータの重要性がさらに浮き彫りにされました。この研究で、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が一部の農作物の栄養価にも深刻な影響を与えかねないことが明らかにされたのです。

大気中の二酸化炭素濃度の上昇が環境に与える影響は良く知られています。実際、海面の上昇や気候パターンの変化はすでに世界中で起こりつつあります。今後、大気中の二酸化炭素濃度がもたらす影響についての研究が進むにつれて、なお一層危険な問題が明らかにされることは間違いないでしょう。世界の人口が増加し続け、環境により大きなストレスがかかることを考えれば、次の大台に達する前に、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が減速することを願う限りです