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風疹、コレラ、おたふく風邪、麻疹は、一般に発展途上国にのみ残る危険な病気とみなされています。ところが最近、北米で「反ワクチン運動」が高まりを見せており、アメリカやカナダでは予防が可能なこれらの危険な病気に感染する子どもたちが急激に増えています。

カナダでは予防接種の奨励キャンペーンが功を奏し、1998年には麻疹は根絶されていました。しかし、予防接種を受けていなかった旅行者が海外からこの病気を持ち帰ったことにより、再流行することになりました。カナダでの麻疹患者数は、10年前には40名だったのが、2011年には750名にまで増加しています。 同様に、カリフォルニアでは2010年の百日咳患者数の総数が1947年に報告された総数を上回りました。公的医療費の増加、総合的な観点から健康に取り組むことへの関心の高さ、さらにはライフスタイルが健康に及ぼす影響に対する意識が向上しているにもかかわらず、ある点では決して良いとは言えない健康状態に納得してしまっている人たちもまだまだ多いようです。

2011年初頭、ワクチンの供給を世界規模で増加することで、予防可能な感染病による死亡者数を減らすことを目的とした「ワクチンの10年」というプロジェクトが立ち上がりました。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団をはじめとした慈善団体も、子供たちの命を救うために金銭的な支援やさまざまな取り組みを行っています。

途上国でワクチンをできるだけ多くの人々に広めようと尽力している医療関係者やボランティアの目には、社会が率先して守るべき子どもたちに予防接種を受けさせることの大切さを忘れたかのような先進国の現状はどのように映っているのでしょうか。この問題を深刻に受け止めるべき時が来ているようです。