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世界の科学者たちは、これまで発表された文献と比べいかにインパクトが強く、かつ優れた研究成果を、どれだけ早く発表できるかを競い合って切磋琢磨しています。この「インパクト」、「質」、「時間」の競争にさらに「年齢」という要素が加わったことが最近、カナダで話題になっています。

カナダ王立天文学会は、ノバスコシア州の少年が、史上最年少の10歳で超新星を発見したことを発表しました。若き科学者のNathan Gray君は、ノバスコシア州のAbbey Ridge天文台が撮影した天体画像からこの超新星を発見しました。王立天文学会はGray君が発見した超新星を確認しましたが、正式に新発見として認められるためには、国際天文学連合の天文学者たちがより大きな天体望遠鏡を使って詳細な調査を行い、超新星を確定する必要があるということです。さらに興味深いことに、このGray君のお姉さんは超新星発見の最年少記録を持っており、Gray君の今回の発見が確定すると、彼がお姉さんの記録を塗り替えることになるというから驚きです。

優秀な科学者の血がGray家に流れていることは明らかですが、このことはまた、子供たちの科学に対する関心を高めることの大切さを物語っています。

経済協力開発機構(OECD)が発表する「より良い暮らし指標」によると、日本の生徒の学力(読解力、数学、科学)は、OECD加盟36か国の中でも3番目に高いとされています。つまり、日本の子供たちには科学の世界で輝かしいキャリアを築くための基礎がすでに備わっているということです。子供たちに科学への積極的な興味関心を芽生えさせ、これを将来の仕事につなげていけるような地盤をつくれるか否かは、現役の日本の科学者たちにかかっています。これは高齢化が急速に進む日本にとって、喫緊の課題として意識されるべきこ とでしょう。人類が数十年後に直面するであろう困難な問題を解決する鍵を握っているのは、次世代の日本人と、彼らが生み出す最先端技術かもしれないのです。