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2013年10月号の「Brain」のLetter to the Editorに、新たに発見されたアルベルト・アインシュタインの脳の高解像度写真を分析した、非常に興味深い研究結果が発表されました。

中国の華東師範大学の研究者らは、右脳と左脳を繋ぐ役割を担う脳梁に注目し、アインシュタインの脳梁の厚みを計測することで、特定領域において彼の右脳と左脳がどれほど強く繋がっているかを調査しました。そして、高齢男性15名の脳サンプルと、アインシュタインが最も画期的な4編の論文を発表した26歳前後の青年52名の脳サンプルと、それぞれ比較しました。

その結果、高齢男性と青年からなる各コントロール群に比べて、アインシュタインの脳梁の一部は厚く強い繋がりを持っていることが分かったのです。研究者らは、アインシュタインの驚くべき知能は、彼の右脳と左脳の交流が一般の人に比べて活発だったことによるものだと分析しています。 さらに興味深いことには、アインシュタインの脳組織は長期にわたり保存されていたことで縮小しているかもしれず、アインシュタインの脳梁とコントロール群の脳梁に見られた差は、実際にはさらに顕著だった可能性があるというのです。

アインシュタインは、宇宙論から理論物理学、果ては大衆文化にまで影響を与える偉大な科学者です。アインシュタインの革新的発見は、当時の科学者たちの宇宙の理解を覆しました。そして現代の科学者たちもまた、アインシュタインの脳の特異な構造が彼の強力な思考の発展を促したかもしれないという謎に取り組んでいるのです。