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6月27日、デジタル版サイエンス誌に探査機ボイジャー1号に関する待望の最新記事が掲載されました。ボイジャー1号は1977年9月5日の打ち上げから35年以上の歳月をかけ、185億5600万Kmの距離を飛行し、宇宙の旅を続けています。 これは地球から最も遠い距離に到達した人工物体ということになります。このように驚異的な距離と時間をかけて飛行を続けてきたにも関わらず、同機はほぼ問題なく運用されており、現在も地球に観測データを送信し続けています。人類にとって未知の領域から発信される観測データが、私たちにとって極めて貴重であることは言うまでもありません。

2013年3月に地球で受信したデータによると、ボイジャー1号はついに太陽圏を離れ、恒星間空間へ到達したことが示唆されました。当初は興奮に沸き立ったNASAですが、その後、ボイジャー1号が太陽圏を離脱した場合に観測される見込みとされた科学者の予測データと、実際に受信したデータとが一致しないことが公表されました。そのため発表は、ボイジャー1号は太陽圏の端で最も外側にあたる領域を飛行中の可能性が高いという慎重な言い回しに修正されました。

サイエンス誌に掲載された今回の記事によって、ボイジャー1号が恒星間空間に到達したかどうかの議論に終止符が打たれました。現在はまだ太陽の磁場の影響が及ぶ領域を飛ぶボイジャー1号ですが、太陽圏最後の空間を脱出して恒星間空間に到達するのは時間の問題です。どのくらいの時間がかかるのか正確なことは分かりませんが、ボイジャー1号の装置が最低でもあと10年は稼動をするだろうことを考えると、そのときこそ科学者たちは、推測ではなく実際のデータに基づいた発表が可能となるでしょう。

欧州宇宙機関(ESA)は先日、プランク宇宙望遠鏡が観測した宇宙最古の光の地図を発表しましたが、それでも人類は宇宙のほんの一部をわずかに垣間見たに過ぎないという事実は、私たちを謙虚にさせるに十分な意義を宿しています。果てしなく荘厳な宇宙、それは科学者たちの永遠の知的探究心を刺激してやみません。