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- G.A., シニアエディター

遺伝科学は、生物学や医学のさまざまな分野において研究に大革命をもたらしました。科学におけるこれまでで最も大きな業績はヒトゲノムのマッピングです。ヒトゲノムプロジェクトは、これまでに実施された共同研究の中でも最大規模の取り組みであり、ヒトゲノムのすべての遺伝子のマップを作成しました。 この画期的な成功に続き、さらに大掛かりな新プロジェクトが始まっています。

Earth BioGenome Projectは、わずか10年という期間で地球上のすべての真核生物のゲノムをマッピングし、データをオープン・デジタル・レポジトリ で利用可能にすることを目指しています。属や科ごとに1つの種のゲノムの配列を決定しようとした類似のゲノムマッピングプロジェクトとは異なり、このプロジェクトは地球上に存在する種の進化の複雑性を可能な限り詳細に評価することを目指すものとなります。

現在地球上に生息している種の最大50%が2050年までに絶滅する可能性があることを危惧し、このプロジェクトでは楽観的なスケジュールが組まれました。種が絶滅していくたびに、そのゲノムの中に隠された生物学的情報は失われていきます。

このプロジェクトのリーダーたちは、人類の歴史の中で蓄積されてきた豊富な科学的知識は地球上に存在する種のごく一部に関する知識を基に生み出されてきたことを重視しています。そのため、この壮大なプロジェクトは種の進化やその生態系の複雑さを私たちが理解する役に立つだけでなく、私たちの食の安全や医学にも貢献することが期待されています。

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