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- G.A., シニアエディター

近年、世界のサンゴ礁の健全性が大きく注目されています。著しい白化現象が広範な被害を生んでおり、繊細なサンゴ礁生態系が近い将来消滅することを懸念する声もあります。

サンゴ礁の健全性の問題に対処するため、ハワイ州知事のデービッド・イゲ氏は、2021年からハワイ州でサンゴ礁に有害な化学物質を含む日焼け止めの販売を禁止する法律に署名しました。サンゴ礁に有害な化学物質と気候変動の影響が一般メディアで取り上げられる一方、Natureに掲載された最近の研究は陸に住むネズミが水生のサンゴ礁生態系に及ぼす悪影響に注目しています。

研究者らは、ネズミが生息する島では海鳥の個体数が少なく、海鳥が少ないと沿岸水域の栄養素濃度が低いことを発見しました。ネズミが海鳥を捕食し、近くのサンゴ礁生態系にとって重要な栄養素となる海鳥の糞の蓄積を妨げていると指摘しています。

研究者らはこの発見に基づき、島からネズミを完全に駆除することを推奨しています。ネズミの駆除は、陸上生態系に利益があるだけでなく、海鳥の糞中の栄養素を海に戻すことができるのでサンゴ礁の健全性を改善するといいます。

サンゴ礁は環境の相互関連性と繊細さを象徴しています。生態系に影響を及ぼし得る新たな要因を研究者が特定し続けるなか、環境の小さな変化でも大きな影響がある可能性を認識する必要があります。

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