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- G.A., シニアエディター

アメリカバイソンやシロナガスクジラなど、地球上の大型動物相は、体格の点で最も印象的な種であるだけではなく、絶滅のリスクが最も高い種でもあります。生物多様性の重要性と、非常に多くの種への脅威が増大していることに対する世界的な認識は、これまでになく高まっています。 しかし、一部の科学者は、種を「絶滅のおそれのある種」または「絶滅危惧種」として指定する方法が妥当ではないかもしれないと懸念しています。

Frontiers in Ecology and Evolution誌に掲載された最新の論文では、アジアゾウに焦点を当ててこの問題を浮き彫りにしています。論文の著者らは、個体数と分布の傾向に注目しても、存続可能個体数を維持するために特定の種が必要とする「個体数動態的に安全な空間」を完全に把握することはできないと指摘しています。この安全な空間に寄与する要因を理解することが、アジアゾウのような大型で繁殖速度の遅い種にとっては特に重要です。

研究者は、個体数が減少し十分な繁殖ができなくなる状態、いわば繁殖の崩壊に達する前に、絶滅のおそれのある種を特定する必要があると強調しています。繁殖の崩壊は、種が危機的な転換点を迎えると始まる可能性があります。重要なのは、この転換点が単に野生動物の個体数だけの問題ではなく、種の存続可能個体数の維持を妨げうる一群の要因に関係するということです。

今、地球上を歩いている象徴的な大型動物相が次世代でもなお見られるように、種がどのようにして絶滅するのか、いつ個体群が最も絶滅のおそれのある状態になるのかを十分に理解することが必要不可欠です。研究者が前もって転換点を特定できれば、絶滅のおそれのある種の存続に有用な保護手段を導入することができる可能性があります。

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