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- G.A., シニアエディター

私たちは、自らをホモ・サピエンス種の個々のメンバーであると考える傾向があります。しかし、ヒトの体には細菌や真菌、ウイルスなど無数の種が生息しており、多くの場合、このような生物が生命に不可欠な働きをしています。私たちの体の表面と内部に存在するすべての生物の全ゲノムはマイクロバイオームと呼ばれ、さまざまな分野の科学者の注目を集めています。

マイクロバイオームが私たちの健康に影響を及ぼしていると考えられたため、研究者はヒトが保有する種の目録作成に関心を持つようになりました。現在までに関連する研究を行い、ヒトの体に生息する細菌の種類を特定しようとしてきました。しかし、最近の研究では、私たちの体に存在するさまざまな微生物種や菌株を作る遺伝子に焦点が置かれています。

これまでに行われた最大規模の研究では、ヒトの口腔内と腸内に存在する複数の細菌のDNAサンプルから遺伝情報が集められました。著者らは、彼らが管理するデータベースのすべての遺伝データにオンラインで自由にアクセスできるリポジトリ(オープンアクセスリポジトリ)を作成しました。このデータベースの遺伝的多様性は驚くべきものです。著者らは、データベースに登録されている遺伝子の約半数が、単一個体の宿主に特異的であることを発見しました。これは一人ひとりのマイクロバイオームが、指紋と同様、個々に異なることを示唆しています。

ヒトマイクロバイオームとそれがヒトの健康に及ぼす影響に対する理解は限られているため、オープンアクセスリポジトリで収集データが公開されれば、この分野の科学者がもっと早くその驚異的な複雑さを理解できるようになります。マイクロバイオームと特定の疾患の関連性が明確になれば、個別化医療のためのマイクロバイオーム療法の開発も可能になると思われます。

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