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査読の価値を推定する試み


- G.A., シニアエディター

論文を執筆し学術誌に投稿する著者にとって査読は気が重いプロセスですが、現代の科学的手法には不可欠な要素です。 決して完璧なシステムとはいえませんが、査読はある分野の文献を構成する知識に対してフィルターの役割を果たし、査読者のコメントは学術誌で発表される研究の全体的な質を向上させることに役立ちます。しかし、学術論文の査読は一般的に匿名のプロセスであるため、査読者の作業量については今もほぼ隠されたままです。

Research Integrity and Peer Review誌に発表されたある学術論文で、査読に費やされた時間を国ごとに推定して、査読の金銭的価値を算出する試みが行われました。 発表された研究論文のすべてを一覧にしているデータベースは存在せず、各論文に査読者が実際に費やした時間は不明であるため、著者らは推定に基づいて計算せざるを得ませんでした。著者らは推定値を控え目な値だとしていますが、研究結果から、米国在住の査読者が査読に費やした時間の年間金銭的価値は15億米ドルであり、英国在住の査読者の場合は4億米ドルであることが示唆されました。

近い将来、多くの学術誌が行っている査読方法に何らかの変化が見られる可能性は低いですが、査読者の作業を調査する研究は、この社会的に重要なプロセスへの理解を高めるのに有用です。政府助成金を通して一般市民が多くの研究プロジェクトに財政支援を行っていることを考えると、科学界は査読に費やす多くの時間を通して研究に貢献しているのだと理解することが重要です。

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