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学術論文の「二重発表」という落とし穴を避けよう


- G.A., シニアエディター

研究者であれば、たいていが自分の研究を著名な国際ジャーナルで発表したいと夢みています。多くの日本人研究者にとって、国際的な発表の場へと続く道は、 研究成果を日本語のジャーナルで発表することで開かれます。しかし、ひとたび日本語で論文原稿が発表されてしまうと、通常は、同じ研究を英語で発表することがいっそう難しくなります。

多くの研究者が、「二重発表」または「重複発表」という問題に気がついていません。二重発表とは、過去に発表した成果を、その過去の発表に関する適切な照会なしに、再度発表することです。二重発表で最も多い例は、翻訳原稿の発表なのです。

論文原稿を英語に翻訳して投稿する前に、ターゲットジャーナルの著者向け投稿規定を確認し、過去の発表内容を別の言語に直したものが二重発表とみなされるかどうかを確認してください。過去に発表された論文原稿(異なる言語で発表されたものでも)は掲載しないと明言しているジャーナルは、論文の投稿先から除外しましょう。

投稿先ジャーナルの著者向け投稿規定に、二重発表に関する明確な記述がない場合でも、過去に日本語で発表した事実を言明する必要があります。一般的に、こうした事情はカバーレターのなかで説明するとよいでしょう。また論文の投稿用ウェブサイトでのファイルのアップロード時に、こうした情報を提供する必要がある場合もあります。

適切な手順に従えば、たとえ過去に日本語で発表した内容であっても、研究を掲載してくれるジャーナルが見つかるはずです。