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- G.A., シニアエディター

2019年5月、大手非営利オープンアクセス出版社のPLOSは、発行する学術誌の査読プロセスの透明性を高めるプログラムを開始しました。2019年12月、PLOSはプログラムの開始後6ヵ月間の結果を公表しました。

査読は現代の科学的検証の礎ですが、そのほとんどが論文の読者には見えないところで行われています。そのため、論文が投稿された際にどのような査読コメントが付き、またそのコメントが論文の最終稿にどのような影響を与えたのかは、論文を投稿した著者本人や査読者、その学術誌の編集委員にしかわかりません。PLOSは査読の透明性を高めるこうした動きが、研究評価についてよりよい理解をもたらし、次世代の研究者の教育に役立つことを期待しています。

プログラム開始後6ヵ月間に、合計1,536件の論文の著者が、論文とあわせて査読の過程をすべて公表することに同意しました。同意した著者の割合はPLOSが刊行する雑誌全体では40%、PLOS Biologyでは72%に達しました。完全な透明性を目指す次のステップとして、PLOSは査読者に署名入りの査読コメントの提出を奨励し、論文の著者に、ひいては読者にも査読者を明らかにする試みを進めています。査読の過程が公表された論文の55%には、さらに署名入りの査読コメントが1つ以上含まれていました。

プログラムはまだ新しく、収集されたデータは予備的なものであるため、査読依頼の受諾や査読コメントの提出にかかる時間に、オープン査読が与えた有意な影響は見られなかったとPLOSは報告しています。したがって、査読の透明性を高めたとしても、出版社がタイムリーに査読を提供することは可能だと思われます。

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