特集記事

- G.A., シニアエディター

投稿論文のタイトルページに掲載される著者名の順番は、現代の学術界で依然として重要な役割を担っています。一般的に、著者名はその研究に対する貢献度の高い順に掲載されると考えられています。 このような掲載方法は、他の慣習と同様に長い間続いていますが、それが今日どのような役割を果たしているのかよく考えることが大切です。

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaに発表された意見記事で、イスラエルの研究者グループは、発表された研究への著者自身の貢献度に対する認識にどの程度バイアスがかかっているかを分析し、結果を報告しました。

研究者グループは、発表された10本の論文をサンプルとしてその著者らを対象に調査を行い、投稿論文への貢献度に対する著者自身の評価に関するデータを集めました。おそらく予想通り、その結果からは、科学者であってもチームプロジェクトに対する自らの貢献度を過大評価する傾向が示されました。現代の学術研究という協働分野においてさえ、バイアスが自身の研究と他者の研究に対する見方に影響する可能性があるのです。よって、この意見記事の著者らは、すべての科学者が個人のバイアスの影響を受ける可能性を認識すべきだと提唱しています。また、大学・大学院教育にこうしたバイアスや他のバイアスについての議論を取り入れる重要性も提言しています。

人間の認識からバイアスを完全に取り除くことは不可能かもしれませんが、学術誌での著者名の表示方法を変更すれば、貢献度順に著者名を記載することに伴う問題を解消するのに役立つと思われます。この意見記事の著者らは、代替案として、貢献度の高さではなく、著者が実施した作業に基づき掲載順を決めることを提案しています。しかし、従来の掲載方法が持つ長い歴史を考えると、このような変更を取り入れるのは難しいかもしれません。

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