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- G.A., シニアエディター

各分野で過去に出版された論文に対し、著者にしかるべきクレジットが確実に認められるようにするために、ORCiDやWeb of Science Groupの「ResearcherID」など、いわゆる「研究者識別子」が開発されてきました。こうした識別子は、似た氏名や同姓同名の研究者を混同しないよう、出版物とリンクできる専用の番号として著者に割り当てられます。 しかし、改姓や改名をした著者は、正しい著者名が出版物に掲載されるようにする際、依然として困難に直面します。

歴史的に見ると、氏名を変更した著者は、論文を掲載した各出版社に正式な変更依頼を提出しなければなりませんでした。複数の出版物を発表している研究者の場合、長期間にわたるストレスの多い作業になるでしょう。しかし、英国王立化学会などの出版社は、著者の氏名変更が必要になりうる多くの状況を認識し、変更を容易にする措置を講じ始めています。2020年末、英国王立化学会は編集方針を改訂し、著者が氏名、経歴の写真、性別を示す代名詞などの識別子の変更を依頼する方法を提示しました。

最近米国では、17の国立研究機関と17の大手出版社の間である合意に至りました。この合意では、氏名の変更を求める研究者が所属する研究機関が、研究者の代わりに必要な申請書を参加出版社に直接提出することになります。こうした合意の確立は、出版済み論文をタイムリーに修正することを容易にし、研究者自身の負担を大幅に軽減するのに役立つと思われます。

ORCiDなどの研究者識別子の急速な普及は、著者が過去に築いてきたクレジットを常に確実に得られるよう、出版社が氏名変更依頼への対応を改善し続けるであろうことを示唆しています。

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