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- A.S., エディター

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる通常業務の中断は、社会が直面する問題の1つです。しかし、学術出版界ではむしろ生産性が向上しています。 これまでの年と比較して論文投稿数の急増が最も顕著だったのは、COVID-19のトピックに最も密接に結びついている医学と生命科学分野でしたが、すべての科学分野で全般的に増加が見られたことから、研究成果の発表自体が明らかに増加傾向にあることが読み取れます。

しかし一方、2020年5月までの段階、すなわちパンデミックの初期でさえ、発表された研究におけるジェンダー格差の可能性を示唆するデータが集まっていました。ある調査では、2019年から2020年にかけて、プレプリントサーバーにおける女性の著者数と女性筆頭著者の論文投稿率が、男性のそれらを下回っていることが明らかになりました。最近、より大規模な調査で、学術出版社のエルゼビアが発行するジャーナル2,329誌への2018年から2020年にかけての投稿が検証されました。COVID-19の第1波の間、女性による論文投稿数は医学、物理化学、社会科学など多数の学術分野で減少したことが報告されました。投稿率の男女差は若手研究者の間でより顕著であることも明らかになりました。

この調査の著者らは、女性の方が家庭での負担が大きいため、在宅勤務という条件が女性の論文出版における生産性に強い影響を及ぼすのだろうという仮説を立てました。研究者としてのキャリア初期にある若い女性に対するパンデミックの偏った影響もまた、学術界のジェンダー平等に長期的な影響を及ぼすのではないかと懸念されています。

このような広く多様な社会問題に関しては、議論を深める土台となるようなしっかりした研究を行うことが非常に重要です。COVID-19による制限が男女に与える影響の違いを明確にすることで、学術出版社や学術機関は、今後どのようにより公正でより包摂的な慣習を推進すればよいのか理解することができます。

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