特集記事

- C.C., エディター

2022年1月12日、ある臨床研究拠点の共同所有者であるオルガ・トーレス氏が、臨床試験データの偽装に対する食品医薬品局(FDA)の調査を妨害した罪を認めました。 彼女が経営するUnlimited Medical Research社は、小児喘息治療薬の安全性と有効性を評価する臨床試験の実施を請け負った企業の1つでした。

この事件は憂慮すべきものであり懸念の種ですが、残念ながら過去にも同様の事件が幅広い分野で起こっています。医学、特に医薬品や治療法の承認に関わる場合、そのような不正を検出できなければ、最悪の場合は公衆衛生への被害をもたらし、より広い意味では科学機関に対する社会的信用の低下につながる可能性があります。

希望を持てる点は、論文の編集段階でのチェック機能が向上しており、不正研究の検出と論文撤回の増加を示すエビデンスがある点です。さらに、研究者はコンピュータを用いる手法や教師なし学習手法を用いて、捏造されたデータを検出する手法の改良を進めています。しかし、いったん不正が検出されて論文が撤回されても、虚偽または不正確な科学的知識がその後の研究過程に影響を及ぼし続ける可能性への懸念が残ります。つまり、ゾンビ論文現象に見られるように、撤回された論文が、さらには撤回された論文を引用した論文が、高い頻度で引用され続ける可能性があるのです

このような問題は広範な科学研究分野では目新しいものではありません。また、不正研究の検出とそれに続く撤回だけでなく、防止にも注意を払う必要があるのは今や明らかなようです。墓に葬られたニセ科学の影響を阻むために、科学者のインセンティブ構造を改善する必要があるかもしれません

英語版はこちら