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- C.C.,エディター

2022年8月25日、ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)は、年間の研究開発費が1億ドルを超える連邦政府機関を対象とした新しい指針を発表し、連邦政府の助成を受けた研究の査読論文に対する12カ月間のエンバーゴ(公開猶予期間)撤廃を要請しました。 この指針はOSTPによる2013年の覚書をさらに発展させたもので、連邦政府助成による研究の査読論文に掲載されたデータは、出版後すぐに自由に利用できることになりました。

新しい覚書では、影響力の強い研究への公平なアクセスと研究情報の提供を促進するホワイトハウスの取り組みが改めて強調されており、そのような研究の成果はアメリカ国民の所有物であると明言されています。さらに、COVID-19パンデミックから学んだ教訓にも言及し、国民の信頼を高める取り組みを強調しています。この覚書はかなり長いものの、そのメッセージは「科学をオープンかつアクセス可能にすることが最も重要である」と明確です。

オックスフォード大学出版局のオープンアクセスジャーナルおよびアジアのジャーナル出版責任者であるRhodri Jackson氏は、あるインタビューでこの新しい覚書についてコメントし、覚書は学術出版のオープンモデル化を加速させる一端を担っており、米国だけでなく世界中の研究者の利益になると話しています。こうした動きは心躍るものですが、様々な領域における持続可能性などの課題が残っていると述べています。

学術出版は大きなビジネスで、上位5出版社が全出版物の50~70%を占め、天文学的な利益率を上げていることはよく知られています(2015年の分析を参照)。これはオープンサイエンスの進歩にとって非常に手強い挑戦ですが、科学の民主化というOSTPの新たな取り組みと、出版業界を刷新するかもしれない新しい技術的解決策の登場によって(詳しくはニュースレター記事の続報をお楽しみに!)、オープンサイエンスの未来は明るいという希望があります。

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