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- C.C.,エディター

2023年1月、ある論文がNature誌に掲載され、大きな議論を呼びました。論文の著者らはイノベーションの急激な発展と技術進歩を背景に、過去60年以上にわたり発表された多様な研究分野の論文4,500万本を分析し、研究の「破壊的性質」を定量化しました。

論文の著者らは、CD指数と呼ばれる測定基準を用いて、多数の分野で徐々にCDが低下していることを示し、発表される研究の破壊的性質が経時的に低下していると結論づけました。著者らはまた、こうした低下が他の複数の指標を用いた場合でも観察されることを実証し、現状からの逸脱を示唆する言葉の使用が学術出版物から徐々に減っていることを明らかにしています。

著者らが行った引用傾向などの分析では、科学者がより狭くより古い過去の知識の組み合わせを土台にして研究を進めることが増えていると示唆されています。原因として、そのような戦略を用いることで得られる可能性のあるキャリア上のメリットや、科学者が最新の開発ペースについていく際の苦労などが論じられています。

この観察された現象は、その原因に応じて政策の調整やインセンティブの修正を行うことで変更できる可能性があると示唆されています。この新しい研究により表面化した懸念は、少なくとも筆者の意見では、以前このニュースレターでも一部取り上げた学術出版改革の取り組みと、研究における説明責任と公正性を向上させる必要性に対する認識の高まり(簡潔な解説は国際学術会議の記事を参照)に関連しているように思います。いずれにせよ、テクノロジーへの依存がますます強まる社会と経済において進歩を維持するには、将来のイノベーションを妨げる全ての大きな障害に細心の注意を払う必要があります。

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