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- A.P.,エディター

「ニュアンス」とは、微妙な区別や込み入った細部のことで、私たちの表現を豊かにし、効果的なコミュニケーションを行う上で重要な役割を果たします。正確さと的確さが最も重要になるサイエンス・ライティングの世界ほど、ニュアンスが重要な場はありません。 しかし、言葉の選択を誤ると科学的な厳密さと分かりやすさの繊細なバランスが取れなくなってしまう場合があり、誤解につながります。幸いなことに、こうした落とし穴を克服し、英語が母国語の人もそうでない人も理解度を高める戦略があります。

サイエンス・ライティングでよくある間違いの例として、「いつも」や「決して」などの絶対的な用語の誤用が挙げられます。こうした用語は、複雑な科学的知見を単純化し過ぎてしまうことがあります。これについては、「しばしば」、「一般的に」、「ほとんどの場合」のような修飾語を使用することで、例外やばらつきがあるというニュアンスを足すことが出来ます。また、複雑な現象を単純化し過ぎてしまうと、事の本質とは違うことを表現する可能性があります。過剰に単純化しないよう、文脈付けを行いトピックの本質を多面的に捉えることで、読者が科学的探究の複雑さを正しく理解する助けになります。

英語が母国語ではない人にとっては、文化的・言語的な違いから、ニュアンスを理解する際に特有の課題が出てきます。言葉のニュアンスは、文化の違いで大きく変わることがあり、科学的な文章の背後にある意味を把握しづらくしてしまいます。理解力を向上させる戦略として、アクティブリーディングや、見慣れない用語や不明瞭な文節を目にした時に明確な答えを探し出すことなどがお勧めです。その上で、シンプルな言葉で科学の概念を説明するリソースにアクセスしたり、英語が母国語でない人を対象としたサイエンス・ライティングのワークショップに参加したりすることで、理解のギャップを埋めることが出来ます。

要するに、サイエンス・ライティングのニュアンスとは、正確さと分かりやすさが織りなす繊細なダンスのようなものです。複雑さを認識して状況を伝えつつ、純粋な専門用語を使わず、単純化もし過ぎないようにすることで、科学コミュニケーションの的確さと奥行き感を高められます。英語が母国語でない人も、専門的なリソースを利用して積極的に関わることで、サイエンス・ライティングのニュアンスをより良く理解出来るようになります。また、サイエンス・ライターはニュアンスを取り入れることで、科学の素晴らしさをより深く理解し、科学的探究の複雑さを伝えることが出来ます。

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