- C.C.,エディター
今月号では、進化を続ける学術研究の現場で浮かびあがった重大な問題、すなわち学術論文の数が急増していることについて議論します。このことは学術活動の活発化を示している一方で、科学研究の信頼性と誠実さに対する課題も浮き彫りにしています。
今回取り上げる最近の調査結果によると、2016年以降、学術論文の数が驚くことに47%も増加していますが、研究者の数は増加していません。この差から、発表された論文の質に対する懸念が起こり、精査不足の可能性が示唆されています。
問題の核心は、出版プロセスのスピードにあります。一部の出版社は、印刷を急ぐあまり、徹底した査読を省略していると報告されています。このような短絡的な方法は、時期尚早の、あるいは未検証の知見を広める危険性があるだけでなく、科学的成果に対する社会的信用も損なわせてしまいます。これらの懸念は、11月のニュースレターで取り上げた、厳格な査読の欠如と出版へのプレッシャーが疑わしい質の研究の急増につながっているというハゲタカジャーナルの問題と同調しています。このような慣行は学術界にとどまらず、公共政策や認識を誤導する可能性があります。
従来、焦点を絞った科学的議論の場であった「特集号」が、査読基準を妥協する一方で論文の数を増やすために悪用されていることが指摘されています。これは研究の質を低下させるだけでなく、自己引用によってジャーナルのインパクトファクターを人為的に上げることにもなります。
この問題に対処するためには、研究のインパクトの評価基準を再定義し、数よりも質を重視するよう学術界が協力して取り組む必要があるのではないかと考えられています。いずれにせよ、出版慣行の透明性を確立し、査読プロセスを見直すことが、学術出版の誠実性を維持するために不可欠であることは明らかであると思われます。AIの影響など喫緊の課題が目前に迫り、激動の渦中にある今だからこそ、このような対策がなおさら重要であると言えるでしょう。
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