- G.A.,シニアエディター
2018年にプランSを開始したcOAlition Sは、2026~2030年の戦略を公表し、当初の規範的な指針から、より協力的な枠組みへ進化していることを示しました。完全かつ即時オープンアクセスへの支持を改めて表明するとともに、「科学的に信頼できる知識を迅速に、オープンアクセスの下で、透明性と公平性を確保しつつ共有できる学術コミュニケーションシステム」というビジョンを掲げています。 会員との協議や世界的な動向(論文掲載料の上昇、公平性の格差、出版におけるAIの役割など)の分析を踏まえて策定されたこの戦略は、プランS開始初期の混乱によって明らかになった制約に対処するものです。詳細は公式発表で確認できます。
この戦略の中核には、3つの優先事項があります。1つ目は、査読付き論文への持続可能で公平なオープンアクセスの基盤強化(プランS原則の更新を含みます)、2つ目は、オープンアクセス提供とデータ保存を支える相互運用可能なデジタル基盤の整備、そして3つ目は、十分なモニタリングの下で財政的に持続可能な出版モデルの検討です。戦略の実施は段階的に進められ、2026~2027年は基盤構築と会員サービス、続く2028~2030年は公平性と持続可能性の強化に取り組むことになります。戦略文書の完全版は、ダイヤモンドオープンアクセス(費用負担なしのアクセス)、プレプリント、Publish-Review-Curate(出版・査読・キュレーション)モデルなど、多様な方法を明確に支持しています。
2018年のプランSでは厳格な要求を課し、購読型ジャーナルへの資金投入を禁じていましたが、新しいアプローチでは、拘束力のある規定や資金投入の約束(spending pledges)は設けられていません。「一つのモデルではすべてのニーズに応えられない」と認め、研究者が自由に出版先を選べる柔軟性を確保しながら、研究評価改革やAI関連政策との整合を図ることを促しています。この現実に即した方針転換により、研究室での運用上の負担は軽減される一方、政府機関や助成財団などの資金提供者に対しては、非営利的な出版・公開手段へ資金投入を促す圧力は維持されています。
2026~2030年の戦略が進む中で、研究者は、誰もがアクセスでき、長期的に公平で信頼できる学術環境が整うことを期待できます。これにより、今後、資金助成の対象、論文の出版に関する意思決定、研究者のキャリア評価の関係性が変わる可能性があります。
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