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- G.A., シニアエディター

通常、研究のオープンアクセスに関する議論は、出版社、学術雑誌、図書館の蔵書に焦点を当てるものです。しかし、2017年10月、ある一つの論文がオンラインで無料公開されて、メディアで大きく取り上げられました。

存命する科学者の中で最も有名な科学者の一人であるスティーヴン・W・ホーキング博士は、ケンブリッジ大学のウェブサイトに自身の学位論文を公開し、誰でも自由に利用できるようにしました。ホーキング博士の学位論文は、以前からケンブリッジ大学でリクエストが最も多い論文です。ただしこれまでは、同大学の図書館に直接行くか、65ポンドを支払って論文のコピーを取り寄せるしかアクセスする方法がありませんでした。

博士の学位論文の無料公開は、世界の誰もが研究成果にアクセスできるようにしたいという博士のたっての希望から実現したもので、学術界におけるオープンアクセスの採用と普及を推進する国際週間である「オープンアクセスウィーク2017」に合わせて行われました。

このニュースが発表されると、ケンブリッジ大学のウェブサイトにはアクセスが殺到し、一時的にサイトが利用できなくなるほど人気を集めました。博士の論文にアクセスした人に、論文の内容が完全に理解できる人はほとんどいないと思われます。それでも、この画期的な論文が一般公開されたことで、内容を理解できる人が自由にアクセスし、得た知識を基に宇宙に対する人類の理解を深めることが可能になったことは確実です。

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