特集記事

- M.L., エディター

インターネットの普及で私たちの生活は劇的に変化しました。その影響は学術出版業界にも及び、受理された論文を出版前に読んだり、類似文献を検索したり、何百万もの読者に論文を読んでもらうことが可能になりました。 これらはインターネットの明確なメリットであり、インターネットが業界に及ぼした影響はいくら強調しても強調しすぎることはありません。インターネットのおかげで、ひと昔前なら考えられないようなスピードで科学が普及するようになりました。

インターネットのない頃は、自分の所属する大学や学部に所蔵されていない科学論文を入手するには、書面で図書館にコピーの取り寄せを頼んだり、著者に直接リプリントの送付を依頼したりしなければなりませんでした。著者は投稿論文が受理されると出版社から自分の論文の別刷りを20部ほど受け取るので、リクエストをもらったときは1部ずつ送付したものです。

この方法のメリットは、研究者同士のやり取りや連携を促すことや、どの研究室や研究者が自分の研究に関心を持っているのか分かること、そしてリプリントのリクエスト数で研究の価値を推測することもできることでした。時間がかかったものの、パーソナルなつながりが生まれました

しかし、時代は変わりました。今では論文の影響度を測るのに引用索引を用い、論文のPDFファイルをジャーナルのサイトから直接ダウンロードします。この段階で研究者同士がやり取りする必要はもうありません。インターネットを使えば、手早く効率的に欲しい論文が手に入ります。それでもときには、新しいシステムによって何が失われたのかじっくり考えてみることも大切ではないでしょうか。

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