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- G.A., シニアエディター

倫理基準を軽視する一部の研究者への懸念が高まる中、先日、米国科学・工学・医学アカデミー (NASEM)は、この問題に関する提言をまとめた「公正な研究活動の推進」と題する報告書を公表しました。 この報告書は、学術研究におけるベストプラクティスが紹介されており、研究における不正行為を効果的に抑制する方法や不正行為が発生した場合の対処方法も示されています。

今回の報告書は、実はNASEM が1992年に発表した「責任ある科学:研究プロセスにおける公正性を確保する」という報告書の続編にあたります。1992年版と同じく今回の報告書でも、大学および学術団体に対して、研究倫理を啓発し、研究活動における不正行為に適切に対応する仕組みとして、独立した研究公正諮問委員会を設置することが提案されています。

上記のような諮問委員会が設置されることになれば、さまざまな研究機関が統一された倫理教育やトレーニングを実施したり、研究不正に対して共通のプロトコルで対応することが可能になるかもしれません。

今回の報告書「公正な研究活動の推進」の作成にかかわった科学者は、前回の報告書から25年もの年月が経過していることにも言及しています。確かに、前回の報告書 「責任ある科学:研究プロセスにおける公正性を確保する」 の公表後、すぐに研究公正諮問委員会が設置されていれば、主要メディアで大きく報道された研究不正のいくつかは防ぐことができたかもしれません。「公正な研究活動の推進」の提言に基づいて諮問委員会が設置されるかどうかは未定ですが、その行方に関わらず、NASEMのような有力学術機関が不正行為を防止する方法や不正行為が発生した場合の対処方法を積極的に追求することは重要と言えるでしょう。

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