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- G.A., シニアエディター

米国ではトランプ政権の誕生以来、さまざまな議論が巻き起こり、抗議活動も行われています。トランプ政権が2017年3月に発表した2018会計年度予算教書では、2018年度予算において科学研究に対する政府助成金の大幅削減が見込まれることが判明し、学者や研究者は懸念を募らせています。

本予算教書によると、国立衛生研究所の予算は18%減となる上、NASA環境保護庁も予算削減の対象となっています。これらの機関は地球規模の問題に取り組み、当該分野で主導的役割を担っています。米国に拠点を置く科学者は、今回の予算削減案が研究の進捗に影響を与え、米国の競争力低下につながるのではないかと懸念しています。

大統領選後に起きた抗議活動や、オバマケアの廃止・代替案を撤回せざるを得なかった状況から判断すると、トランプ大統領の予算教書が議会の承認を得るのは容易ではないかもしれません。ただ多くの研究者が心配しているように、予算教書がもし承認され研究助成金が大幅に削減された場合、研究活動に長期的な影響が出る可能性があります。

米国はこの数十年間、多くの研究分野で世界を先導してきました。ある国が科学的成果において他国に追い抜かれることは決して珍しいことではありませんが、トランプ大統領の予算教書が承認された場合、イノベーション大国である米国の科学的発信が著しく減少する可能性があります。

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